卒業から52年目のクラス会

 我々、都立大工業化学科第11期の卒業生が、今年も泊りがけで旅行に行ってきました。
 都立大を卒業してすでに52年、殆どが後期高齢者ですが、なお、しぶとく高齢者に留まっているのが2名ほどおります。今だに現役(もしくは現役同然)というのも複数いて、ここ数年クラス会は泊りがけが続いています。
 今回の行き先は、鹿島神宮(茨城県)と、千葉県佐倉市にある川村記念美術館と国立歴史民族博物館です。かなり高尚なところばかりでした。因みに、最終的にここに決めたのは、同級生中で最年長の柳町氏(満82歳)です。まだまだ元気ですが、寄る年波を感じさせることも多々あり、下見には自動車を自ら運転して回ったと聞いて、同行しなくて良かったと、密かに胸を撫で下ろしています。
 以下、見物(見学)個所につき、私の雑感を申し述べます。

鹿島神宮:
 11月18日東京駅八重洲口より高速バスに乗り鹿島神宮駅に直行しました。そこから参道を登って、大鳥居前でガイドさんと落ち合うことになっていました。しかし、その前に大鳥居前の蕎麦屋によって、昼食をとることにしました。水戸藩天狗党の面倒を見ていたという店で、天ぷらそばが1400円、やや高いが味が良かったのでまあまあでした。
 ガイドさんは矢尾氏の紹介による女性で、その豊富な知識を大きな声で披歴してくれました。東日本大震災で倒壊しその後に再建されたという大鳥居、大きな山門、豪壮な作りの本殿、徳川家康が寄進したという奥の院などなどその立派さと、それを取り巻く森、ご神木などの巨木には目を奪われました。

川村記念美術館:
 11月19日の朝、宿から送迎バスで到着、早速名画鑑賞となりました。ルノアール、モネ、レンブラント、日本の長谷川等伯あたりの絵を鑑賞しているうちはよかったのでが、現代画家の作品には当方では理解不能なものも有りました。例えば、灰色の下地の上にそれよりやや濃いマス目が全面に描いてあるだけの作品、これで一体何を感じろというのか。
 しかし、ネットで調べてみると現代絵画や造形作品の展示が当美術館を特徴づける大きなものの一つのようです。鑑賞力に自信がお有りの方なら、現代作品も間違えなく見応えのあるものなのでしょう。
 これに比べて庭園は私にも理解しやすく、すばらしいものでした。同行のメンバーからは、これは維持するだけで大変だろうとの感想あり。
 ここで昼食をとりました。味と価格とのバランスは一応とれていましたが、平日に拘わらず、食堂は大変混み合っていました。殆どが中高年女性客です。

国立歴史民族博物館:
 太古から近代まで日本列島の歴史と風俗を、発掘品、模型、文書、図面等を用いて説明している博物館で、その展示物の膨大さ、建物の大きさにはびっくりでありました。とても1~2時間では見切れるものではなく、全体をしっかり見るには丸1日掛けても無理でありましょう。しかし、内容と展示方法は素晴らしく、もう一度訪れてじっくり見てみたいと思っています。
 特別展示として、大久保利通展をやっていたので、其れも見るつもりでチケットを買いました。しかし、特別展を見られたのはたった3分間でした。
 私事になりますが、実は私の曽祖父と大久保利通は、江戸時代末期に知り合ったようです。戊辰戦争に敗れた二本松藩士(曽祖父もその一人)が郡山市郊外の荒地であった安積開拓に入植しました。これは明治政府の国家プロジェクト第1号でした。
 この開拓により「桑野の村」という新村が出来ましたが、その名付け親が大久保利通で初代戸長(村長)が曽祖父の松尾智明です。
 従って、安積開拓に係る展示があるかざっと見ましたが、参考にした文献として「安積開拓の・・・」という本が挙げられているのみで、展示品等は無いようでした。
 本題に戻って、宿泊したのは簡保の宿「潮来」でした。北浦の良く見える立地で、部屋も浴場も広く、老人が泊まるには十分でした。午後4時ごろ到着し一風呂浴びた後、夕食の宴会で飲み食いした後は、お決まりの参加者各人の近況報告となりました。
 ところが順番中ほどに差し掛かって登場した人物が、第二夫人の生んだ19歳の娘が可愛くてしょうがないこと、70歳を過ぎてから第三夫人が生んだ子供がわが子であるか疑念を抱き、カナダに試料を送ってDNA鑑定の結果、わが子でないとの結論を得たことを披露しました。
 一同残りのメンバーの近況報告はそっちのけで、特に第一夫人の操縦方法を聞き出そうと食い下がりました。当人落ち着いて曰く、誠実率直にあやまり、優しく許しを請って現状維持を認めてもらったとのこと、何だか虫がよさそうにも思いますが、一応落着しているとのことです。
 以上が、都立大工業化学科第11期卒業生の52年目のクラス会(一部参加を含めて参加12名)の顛末です。あまり行く機会がない方面への旅であったためか、参加者には好評で、幹事の一人として良かった、助かったという気分になっています。

松尾俊二

 

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