第6回「私が歩んだキャリアパス」講演会報告

 「私が歩んだキャリアパス」講演会は、回を重ね今年は6回目。2016年10月14日(金)15時より首都大学東京南大沢キャンパス12号館201号教室で開催されました。昨年に引き続き、首都大学東京分子応用化学同窓会と連携をとり、共同主催となりました。首都大側会長谷口さん(M2)、副会長亀山さん(M1)を始め、各研究室配属修士課程の役員の皆さんと準備を一緒に進めました。

 出席者は修士1、2年生や学部3,4年生で、分子応用化学域の学生50名強と教職員3名、本同窓会からは講師3名と役員2名でした。最初の講演1では多くの学生が集まって頂けました(写真1,2)。

写真1,2:講演中の学生聴衆の様子

 
 しかし講演2,3では、修士1年の授業と重なり、修士2年と学部生の聴衆になってしまい、急遽夕方の懇親会の場でも講演2,3については、追加講演を修士1年生向けに講師を囲んで(写真3)の実施していただきました。 

写真3:懇親会での追加プレゼンの様子  写真4:学域長高木教授の挨拶

 
 学域長高木教授と井上研山本特任研究員のご助言と素早い手配、そして何よりも講師のお2人には2回の講演を行っていただき、世話役の至らぬ調整を十分にフォロー頂きました。感謝いたします。
 
 さて、講演に先立ち、大学側より学域長の高木教授(写真4)から参加している学生に向けて、現在検討の進んでいる首都大学東京分子応用化学同窓会と旧都立大工業化学科・応用化学科同窓会の統合の話を頂き、そして、1949年から70年余りの伝統歴史を踏まえて、現役学生・院生には、OBをドンドン活用し、またOBの歩んだキャリアを勉強して欲しいとの挨拶をいただきました。
 
 これに引き続き、3名のOBの講演者から講演が行われ、講演者の熱い話に参加学生は熱心に耳を傾けていました。
 
 最初に大山百合子さん(写真5:東京都立大学1990年卒山岸研(有機合成)ソーラーフロンティア株式会社 総合企画部 コーディネーショングループ課長 (昭和シェル石油(株)から出向))が登壇しました。
 演題は「なんでもチャレンジ!やってみれば、おもしろい!」
 ご自身のキャリアを若手、中堅、新任管理職、ベテラン管理職のそれぞれの時代に、仕事を通して学んだことをわかりやすく、また学生院生が興味を持ってもらえる資料と語り口で話して頂きました。多くの女子学生聴衆は無論のこと、男子学生にとっても会社での仕事から学ぶ姿を感じていたようでした。また、総合職女子として時代の先端を駆け抜け、独身、結婚、出産、育児の経験から出てきた数多いメッセージは、女子学生への大いなる応援歌にも聞こえました。

写真5:大山百合子さん (資料1)

 
 2番目に藤村卓也さん(写真6:首都大学東京2010年卒 首都大学東京大学院2015年博士修了 高木研(光化学)島根大学 大学院 総合理工学研究科 物理・材料科学領域 助教)が登壇しました。
 演題は「博士課程への進学とアカデミックキャリアの道」
 昨年度からの新任助教として島根に赴任されたばかりですが、すっかり島根人となった藤村さん、まずは島根県の宣伝から講演がスタート。大学研究室に配属されるまでは、ご自身でもアカデミアに残ることは予想されていない中、素晴らしい出会いと経験で、大学院生時代にアカデミアを目指す心の動きを感動的な語り口で講演頂きました。研究生活の実態、学生への指導、そしてアカデミアの魅力の話は、学生院生の聴衆の皆さんの心に響いたのではないかと思われます。

写真6:藤村卓也さん (資料2)

 
 3番目に保坂正喜さん(写真7:東京都立大学1989年卒 井上研(光化学)DIC株式会社 埼玉工場 分散第二技術本部 分散技術7G 主席研究員 )が登壇しました。
 演題は「ゆとりですがなにか?バブルですがなにか?」
 就職活動でのご自身の経験、そして会社選択、ある強い思いで入社したものの配属先では思いの実現には、ほど遠い異なる現実。その現実に対して立ち向かい、自己実現の為に自己変革を遂げていったキャリアを、とてもユーモアあふれる講演は学生院生の心を奪っていました。現在、ヒット商品の製品に組入れる技術開発の責任者と同時に、内閣府国家プロジェクト(SIP)の研究員を兼任して、日本の強みを活かした国家単位の技術開発に打ち込んでいる仕事の話は、大いに参考になったと思われる。また、ゆとり世代の現役学生院生とご自身のバブル世代の共通点を独自の論法でまとめ上げた、現代就職戦線対策も大変面白かったと思われます。

写真7:保坂正喜さん (資料3)

 
 終了後に集めた学生からのアンケートにおいても、「大学院を出た後、どうすごしていったか、何が必要だったかのかが、話を頂いて勉強になった。」、「講演者の経験、世の中のリアルを聞くことが出来て、ためになった。」、「元から苦難がないわけでもなく、長く働いてからも大変だったという話もあったため、ありのままを聞けた」、「リアルは人間関係(上司の話など)を聞けたところが良かった」、「良い話のみでなく、会社でのリアルな内容をお話ししていただいた。」、「企業の話だけでなく女性目線からの話、キャリアを聞けた点が良かった」、 「理系だが研究だけでなく、他に社会人として学ぶべきことを教えてくれた。」、「ドクターを迷っているので、同じような気持ちを持っていた方の話が聞けて良かった。」などの感想がありました。 
 
 講演終了後、隣接するカフェテリア館で懇親会が18:00~20:00に開催されました。八木本同窓会会長と首都大学東京分子応用化学同窓会谷口さんの乾杯の音頭に始まり、追加再講演もあり、OBを囲んでの賑やかな懇親会が行われました。講演会に参加した学生を始め、都合で講演会には出席できなかった学生も加わり、過去最高の60名以上の学生の参加となりました。用意した飲食物はすべてあっという間に完飲・完食、昨年を更に上回るこれまでにない、今までの懇親会で一番の盛会になりました。(写真8,9,10,11)
 
 今回の講演会開催にあたり、講演者にはもちろん、大学内のPRや会場の設定などに尽力いただいた立花教授および当日の会場準備では井上研山本特任研究員に、大変お世話になりました。ここに心からお礼申し上げます。

写真8,9,10,11: 懇親会の様子

 
(本会副会長 江崎敦雄 記 :東京都立大学工化1978年卒、1980年修士修了)