第8回「私が歩んだキャリアパス」講演会報告

 「私が歩んだキャリアパス」講演会は、回を重ね今年は8回目。 2018年10月11日(木)15時30分より首都大学東京南大沢キャンパス12号館201号教室で開催されました。 昨年4月統合された首都大学東京応化・分子応化同窓会が主催となり、各研究室配属修士課程の役員の皆さんが中心となり、講師の方々を探すところから主体的に準備を進めました。
 
 出席者は昨年に比べると全体ではやや減少しましたが、多くの学部3,4年生が参加し、その比率が半数近くと大幅に増えました(グラフ1)。 これも就職戦線状況が、毎日の報道でも揺れていることを反映していたのかもしれません。 また多くの参加者は友人同士の情報共有でこの講演会の開催を知り(グラフ2)、誘い合っての参加となっていたようです。 会場の12-201教室の席には、学生60名余りが開始時から参集してくれました(写真1,2)。 
 


 
 講演は、院生の同窓会役員小峰さん(写真3)の司会で、3名のOBの講演者から講演が進められ、講演者の熱い話に参加学生は熱心に耳を傾けていました。

 最初に、院生の同窓会役員星さん(写真4)から講演者渡辺司さん(写真6:首都大学東京大学院 2017年 博士取得 川上研 信越化学工業株式会社 新機能材料技術研究所 研究部 開発室)が紹介され、渡辺さんが登壇しました。
 演題は「とりあえずやってみよう!から学んだ私の経験」
 学生時代に15ヵ国を訪問されたキャリアと学部修士博士を通じて川上研での経験をもとに、博士課程で獲得した考え方とスキルを就職後の研究開発に活かされている内容を丁寧に紹介頂きました。 博士課程では後輩の研究指導を通じて、分かり易く伝えるスキルを獲得され、コーネル大学への留学により英語スキルを上達されたことは、社会に出てからも大変役立っているとのお話しは現役学生の心に深く刻まれたと思われました。最近企業側も積極的に博士課程修了者の採用が広がっていますので、大学院進学進路の参考になるお話しだったと思われます。


(渡辺さんの資料の一部)

 
 2番目は院生役員の小峰さんの紹介で、坂田瑞希さん(写真8: 首都大学東京大学院 2016年 修士修了 川上研 日産化学株式会社 材料科学研究所 次世代材料研究部 生体材料G)が登壇しました。
 演題は「社会人って想像していたより楽しい」。
 坂田さんは高校生の時にDDS技術に興味を持ち、後年に門を叩いた研究室川上研を訪問し、受験前から川上研志望であったというエピソードが紹介され、学業一途の学生生活を送っていたとの聴衆の期待をさせるイントロでした。 それを見事に裏切る学部1-3年生時代の話に、聴衆学生の気持ちは奪われる展開でした。 3年生後期にしっかり初心を取り戻し、留年を回避する猛勉強で卒業研究に入れたとのこと、念願の川上研での研究活動が出来たとのことでした。 川上研での研究活動を熱心に進められ、それを基礎に就職活動を展開、会社でも希望のテーマに従事されている様子を伺いました。 その過程で企業での研究開発の実際から学んだことを、講演の中では、学生目線に合わせた紹介で、聴衆学生も目の前に将来の企業生活が鮮明にイメージできたのではないかと思います。
 

(坂田さんの資料の一部)

 3番目に院生役員佐藤さんの紹介で、南豪さん(写真10:首都大学東京大学院 2011年 博士取得 久保研 東京大学生産技術研究所物質・環境系部門 講師 / 東京大学卓越研究員)が登壇しました。
 演題は「アカデミアのすすめ」。
 他大学修士課程から師事する教授(久保教授)の異動に合わせて首都大学東京大学院の博士課程に入学された経緯も絡めて、小学生の頃から強く持っていたアカデミアでの活動への想いを最初に語って頂きました。 博士取得後にポスドクで留学された海外で、研究生活の厳しい実態から学ばれたアカデミアでのダイバーシティーは聴衆の学生にとってはとても刺激を受けたと思われます。 大学教員になることの良さをユーモアタップリに紹介していただき、また、山形大学や東京大学でのアカデミア活動の実際も、聴衆学生にとって印象深いお話しになったと思われました。
 


 
 終了後に集めた学生からのアンケートにおいても、 「研究へのモチベーションの上げ方等も聴けた」 「社会人の1日が分かった」 「就職活動に対する意識が高まった」 「社会に出た後の生き方がわかった」 「将来を考えるきっかけになった」 「講師が学生時代にどのようなことを考えていたかを知ることができた」 「研究生活や就職後の具体的な話が聞けた」 「学生とは違う価値観のお話しを聞けた」 「会社での1日のスケジュールや研究に必要なスキルは積極性や成功でも失敗でも考察することなどを学べた」 「学生時代の生活や遊んでいたことを紹介していて、はなしの興味が持ちやすかった」 「会社での働き方や人生における失敗など色々と学ぶことがあった」 などの感想がありました。 
 
 主なアンケートの結果は以下です。
 
 
 講演終了後、隣接するカフェテリア館で懇親会が17:45~20:00に開催されました。 副会長補佐院生の松澤さんの乾杯の音頭に始まりOBを囲んでの賑やかな懇親会が行われました。 講演会に参加した学生を始め、都合で講演会には出席できなかった学生も加わりました。時間を忘れての懇親会も盛会になりました。 副会長院生の田中さんの中締めでネットワーキングが終了しました。
 
 今回の講演会開催にあたり、講演者にはもちろん、大学内のPRや会場の設定などに尽力いただいた立花教授に、大変お世話になりました。ここに心からお礼申し上げます。

【懇親会の様子】 

(副会長 江崎敦雄 記 :東京都立大学工化1978年卒、1980年修士修了)