首都大学東京応用化学科同窓会が主催した「私が歩んだキャリアパス」講演会が、回を重ね今年は5回目として、2015年10月16日(金)15時より首都大学東京南大沢キャンパス11号館110号教室で開催されました。
今回は、初めて現首都大学東京応用化学域の学生が主宰する首都大学東京分子応用化学同窓会と共催で行い、その会の会長松帆さん(M2)、副会長谷口さん(M1)とは、準備段階から一緒に活動しました。
出席者は修士1年生や学部4年生を中心とした分子応用化学域の学生25名と教職員2名、本同窓会からは講師4名と役員3名とOB4名でした。
講演に先立ち、大学側より学域長代理の高木教授から参加している学生に向けて、1949年から旧東京都立大学を含めて首都大東京には70年余りの歴史があり、大学や大学院を卒業・終了したOBをドンドン活用し、またOBの歩んだキャリアを勉強して欲しいとの挨拶をいただきました。
これに引き続き、以下に説明する4名のOBの講演者から講演が行われ、講演者の熱い話に参加学生は熱心に耳を傾けていました。
最初に須原由香さん(写真1:東京都立大学2007年卒 首都大学東京大学院2009年修士修了 井上研(光化学)コニカミノルタ株式会社)が登壇しました。
須原さんが今までに担当した環境配慮型の製品開発やトナー開発を含めた会社でのキャリアを通じて、会社と大学との研究開発の異なる点についても言及し、学生の聞きたい視点に寄り添った講演でした(資料1)。また、会社の海外青年協力隊休暇制度を利用した、2年間のサモア国派遣の中学理数科教師として赴任した経験談も学生には印象に残った内容でした。
2番目に三宅麻子さん(写真2:東京都立大学2008年卒 首都大学東京大学院2010年修士修了 井上研(光化学)(独)製品評価技術基盤機構)が登壇しました。
国家公務員に就職先を選択した理由に言及し、また現在NITE((独)製品評価技術基盤機構)で取組んでいる仕事内容とその国家的な意義についてもお話しがありました。社会人になって感じていることや女性が働く事への感じている点についても取り上げ、参加した女子学生にとっても貴重な経験談の披露でした(資料2)。
3番目に武井文雄さん(写真3:東京都立大学1982年卒、同大学院1984年修士修了 小林・伊藤研(高分子)富士通コンポーネント株式会社 )が登壇しました。
長年富士通の研究所で専門の高分子化学材料を通じた多くの技術開発の実績を披露されました。その内容は成功談だけでなく、製品化まで進めなかったテーマから学んだことを中心に企業における研究開発の実際を学生に分かりやすく説明されました(資料3)。そして仕事を通じて「面白い材料」に出会ったことにより、派手ではないが人のため、会社のために役立つご自身の材料開発への想いも吐露頂き、学生の心に通じる講演となりました。
最後に石岡治道さん(写真4:東京都立大学1978年卒、山崎研(有機工業化学)デュポン株式会社(常務執行役))が登壇されました。
200年にわたってグローバルに展開するデュポン社が、事業ポートフォリオ変革をすすめ、社会に貢献する技術と製品開発を進めた歴史から始まり、現在もっとも企業が注目しているオープンイノベーションについて紹介されました(資料4)。ご自身の経験と学生に馴染みのある化成品を通じた紹介は、イノベーションを引き起こすソリューションビジネスについて、グローバル企業の最前線の石岡さんの熱弁に学生は大いに刺激を受けたことでしょう。
それぞれの講師の講演後に活発な質疑(写真5)が行われ、学生の皆さんの理解が深まると同時に、キャリア形成を大変身近に感じる時間を過ごしたことと思います。高木教授には最初から最後まで熱心に聴講され、学生が知りたいポイントについて質問をいただきました(写真6)
終了後に集めた学生からのアンケートにおいても、「様々な世代や性別の方の話が聞けた」、「知らない仕事をしている人の話が聞けた」、「女性からの視点はうれしい」、「自身の就職活動に役に立つ情報が大変多かった」、「国内のみならず海外での仕事の話も詳しく聞けて良かった」、「聞く事すべてが新鮮でした」、「この講演会開いて下さってとても良かったです」などの感想がありました。
講演終了後、隣接するカフェテリア館で懇親会が17:50~20:20に開催されました。初めの八木本同窓会会長の乾杯の音頭(写真7)に始まり、OBなどを囲んでの賑やかな懇親会が行われました。講演会に参加した学生を始め、都合で講演会には出席できなかった学生も加わり、50名以上の学生の参加となりました(写真8)。
用意した飲食物はすべて完飲・完食、昨年を更に上回るこれまでにない、今までの懇親会で一番の盛会になりました。懇親会では、講演会で質問できなかった具体的な就活の話や、就職希望の業界や企業での具体的な仕事の内容、大学と会社の研究の違いなどOBと学生の熱心な会話が随所で行われました。
今回の講演会開催にあたり、講演者にはもちろん、大学内のPRや会場の設定などに尽力いただいた立花教授および当日の会場準備では井上研山本特任研究員に、大変お世話になりました。ここに心からお礼申し上げます。
(本会副会長 江崎敦雄 記 :東京都立大学工化1978年卒、1980年修士修了)
資料1:須原由香さんの資料(一部)
写真2:三宅麻子さん
資料2:三宅麻子さんの資料(一部)
写真3:武井文雄さん
資料3:武井文雄さんの資料(一部)
写真4:石岡治道さん
資料4:石岡治道さんの資料(一部)
写真5:学生からも積極的に質問
写真6:高木教授(分子応化主任代理)
写真7:懇親会での八木会長の乾杯
写真8:懇親会は完食・完飲